2020年3月2日

自然と対峙する土木の仕事内容に魅力を感じます
地域を守る大事な役割にやりがい

辻建設株式会社 (富山市)
土木部 土木工事次長 伊東 聡史さん

Q1.いまどんな仕事をしていますか。

神通川の堤防強化を行う現場で、現場代理人・監理技術者として施工管理の仕事をしています。2018年7月に発生した台風によって神通川の堤防が約100mにわたり欠損しました。国では、再び災害が発生することを防ぐため、古くなった堤防や洪水時に流下の妨げとなる土砂を取除く工事を進めているところで、現在この葛原(つづはら)地区では堤防強化や河道整備など6つの工事が行われています。6つの現場を合わせると延長400mにも及ぶ大規模な事業です。
河川の工事は、6月から9月の間が出水期となり、河川内の作業ができません。その間はブロック制作などの作業を行っていました。10月からが本格的な工事を進められる期間になり、今は玉石を並べてその間にコンクリートを流し込む「練石張」という作業を行っています。2020年3月末までに工事が終了する予定です。
施工管理の仕事は、現場の安全管理(危険予知活動や保安設備の点検)、品質・出来形管理(コンクリートや材料の検査、構造物の位置・寸法確認等)、施工管理(施工手順、作業員や機械の配置、搬入資材等の確認)を行うことが中心です。

Q2.建設業の仕事に就こうと思ったきっかけは。また、それはいつ頃ですか。

富山県立大学短期大学部の土木科で学びました。短大には設計コンサルや建設会社などから求人がきていましたが、設計コンサルでデスクワークをするより、外で体を動かして仕事をするほうが私には性格的に向いていると思い、建設会社に就職しました。20歳で入社しましたから、今年で27年目になります。

Q3.建設業への入職の不安はありましたか。また、実際に働いてみてどう思いましたか。

不安はありました。でも、どんな会社に就職するにしても、初めは誰もが不安を感じるでしょう。日頃から体を動かすのは好きでしたが、実際に働いてみると、最初は体力のなさを感じてつらかったですね。きびきびと働く先輩の姿をみて、余計にそう感じました。覚えなければいけないことが多く、現場監督として一人前になるには長い道のりだなと思いました。

Q4.建設業で働く魅力はどんなところですか。

道路、橋脚、護岸、砂防堰堤など造った構造物が残っていきます。完成した後に「自分が携わった」と、家族や知り合いに見せられることが魅力ですね。

Q5.今まで建設業の仕事に携わってきて、一番のやりがいとは何ですか。

2019年10月の台風19号で、東北や長野などで大規模な河川の氾濫が発生しました。そのニュースを見て改めて堤防や護岸の重要さを感じましたし、公共工事を行う私たちは地域を守る大事な役割を担っているという、やりがいを感じました。

Q6.建設業は3Kというイメージがありますが、どう思いますか。

今はそう思いません。現場環境改善、ICT技術活用による生産性の向上、休日取得なども進んできており、現場は確実に変わってきていると思います。安全ミーティングや安全巡視もしっかり行っています。ただ、国土強靭化により工事発注が多くなっているのでどこの建設会社も忙しく、担い手の育成や若手技術者の不足が問題となっています。

Q7.休日はどのように過ごされていますか。

中学3年の長男が野球、小学6年の長女はバドミントンをやっているので、試合を見に行ったりしています。私自身は仕事で体を動かしているので、スポーツは特にやっていません。

Q8.今までで一番印象に残っている仕事は何ですか。

これまで立山砂防の仕事を多くしてきました。立山カルデラで寄宿舎に寝泊まりしながら工事を進めるので、特に印象に残っています。また、今回のように6現場が並んで同一締切内で行う河川工事は今までに経験したことがなく、記憶に残る仕事になりそうです。

Q9.将来の目標は何ですか。

ICTの導入によって生産性は上がりますが、土木の仕事は経験も大事です。今後もいろんな仕事に携わり、次代を担う若手とコミュニケーションを図りながら技術を伝えていきたいですね。技術を引き継ぐ若手技術者の育成も大切な仕事です。

Q10.建設業を志す人へのアドバイス、メッセージを。

土木工事は自然と対峙しながら進めていくので、難しさもありますが、そこが魅力でもあります。技術者をはじめ、重機運転手やオペレーター、職人さんも経験を積んでいくことで一人前になれるのです。みんなゼロからのスタートですので、一緒に頑張りましょう。

現場の1日の流れ
8:00~ 朝礼・安全ミーティング(危険予知活動、重機・設備の点検)
8:30~ 作業開始
作業中は指導監督(安全・品質出来形・施工管理)、測量・丁張など
12:00~13:00 昼食・休憩
13:00~13:15 翌日工程の打合せ
13:30~ 作業中の指導監督
16:30~ 片付け
17:00 終業確認
17:00〜19:00 事務作業(書類整理等)、帰宅
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